リトル・フォレスト(little forest)を観ました。
原作は未読。ネタバレ注意。
概要・あらすじを読んでみましょうか。
「魔女」などの五十嵐大介の人気コミックを基に、都会暮らしになじめず故郷の山村に帰ってきたヒロインが、自給自足の生活をしながら生きる力を取り戻す人間ドラマ。自然に寄り添った生活の中で、自分の生き方に思考を巡らす主人公を、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」などの橋本愛が好演し、『重力ピエロ』などの森淳一が監督を務める。東北の四季の移ろいに合わせ夏編・秋編、冬編・春編の2部に分けて公開。
都会で生活してみたもののなじめなかったいち子(橋本愛)は、故郷である東北の小さな集落・小森に戻ってくる。近所にはスーパーもコンビニもないため、自ら作物を育て、野山で採ってきた季節の食材で日々の食事を作り、自給自足の生活を送っていた。不便ではあるが季節の移ろいを感じ、自然の恵みを食べながら、いち子は生きる活力を蓄えていく。
橋本愛の魅力。
まずはコレでしょう。
この映画は春夏秋冬、それぞれが独立しているあまり例を見ない構成になっています。
夏編から始まるのですけど、その夏編が終われば一旦エンドロール。そしてすぐに秋編が始まる、という風に。
だからその季節それぞれの装いをした橋本愛ちゃんを観られるのですけど、これが全然飽きない。
画面には殆ど彼女しか映ってないのに、不思議と惹きつけられる。
だってそれを約4時間も黙って観ていられるんですよ?これって凄いことだと思うんです。
笑っていても怒っていても、どこか憂いを秘めているその表情にいつしか心が奪われています。
「あまちゃん」の時も「桐島、部活辞めるってよ」の時もそうでした。
またねー、演技も自然で良いんですよ。ナチュラル。
彼女のファンならば必ず観たほうが良い作品だし、そうでなくてもファンになってしまいそうなくらい魅力的です。
映像美と物語。
先に断っておくと、この作品には大きな展開などはありません。あくまでも淡々と進みます。
でも、人生って意外とそういうものだよな、と思ったりします。
日々の生活は淡々と、じんわり進んでいくのです。
胸の中にあるモヤモヤはすぐには晴れません。季節とともに、ゆっくりと消化されていくものなのです。
そう思わせてくれる"映像の間"がこの作品にはあります。つまり、様々な風景の映像です。四季折々の美しい空、川、緑。
いくつかのモノローグはそうした映像の中で語られます。
これがまぁ、よくこんな映像撮れたなぁと感動してしまうような景色の連続で、目が奪われます。野生動物の映像なども。
自然と共生し、でも時には戦いながら日々の"食"をいただく。
自分が今生きていられるのは、どうしたって何かの犠牲で成り立っていること。
成り立たせるために、食物には最大の感謝と愛情をかけること。
この辺のジレンマは「銀の匙」に通ずるものがありますね。
ゆっくりと、丁寧に描かれるリトル・フォレストの世界に触れると、そういった様々を考えずにはいられません。それだけ映像に力があります。
僕は今回Hulu(720pのHD画質)で観ましたが、フルHD(1080p)で観てみたいなと思えた作品です。僕は非常に好きです、この映画。
あとこの作品の肝となる題材が「料理」ですね。
これが色々、とても美味しそうなのです。とても上手に撮っていると思います。
山菜や食材の加工は一見、とても退屈に見えます。作業感ありますしね。
でもそれを画面分割で見せたりと、とてもテンポが良いです。
だけど確かに作業の大変さを知れます。感じられます。
中でも、個人的にはイワナの塩焼きが美味しそうだった…。あとキッコ(友だち)が作ったカレー。めちゃくちゃお腹が空きます。
飯テロ注意!ですよ…まったくもう。
リトルフォレスト観てるけど、めっちゃお腹空いてきたわ…
— mscr (@syozopanda) 2016年7月25日
非常に美味しそうに撮ってるなぁ。橋本愛ちゃんも美味しそうに食べるし。
— mscr (@syozopanda) 2016年7月25日
うーわ、カレーとかやられたらもう…
— mscr (@syozopanda) 2016年7月25日
主題歌、BGM。
最後に主題歌とBGMについて触れておきましょう。
まず主題歌。テーマソングとも言えるかもしれませんね。
この映画には春夏秋冬それぞれをテーマにした歌が計4曲用意されています。
それを担当したのがFLOWER FLOWERです。
多くの人がご存知でしょうが、FLOWER FLOWERの中心人物はあの"YUI"です。
しかしYUIソロ名義の頃の音楽とは雰囲気が結構違います。(本人も短髪の金髪にしたりしていてイメージの払拭をしたかったのでしょうか…)
ボーカルの質感も変わりましたね。ソロと比べると少し暗めの、じっとり系なボーカルになりました。
音楽性はクラムボンを髣髴とさせます。芸術性が増しましたね。
そしてそれがこの映画にとても合います。
エンドロールでは毎回、先述した美しい景色や美味しそうな料理、橋本愛演じるイチコの一生懸命な姿が映されます。
そこに寄り添うような音楽です。綺麗なピアノリフがあったり、時には激しく歪んだギターの音があったり。ポストロックに近い音像です。
音源だけを聴いた時は正直あまりピンと来ませんでしたが、こうして映像と共に聴くとその良さが分かりますね。なんか…染みます。
そしてBGM!これがめちゃくちゃ良いです!
宮内優里さん(残念!男だよ!w)が担当されています。
個人的に宮内優里さんは前から気になっていたのですが、きちんと音楽に触れたのは今回が初めてです。
しかし残念ながらサントラは発売されていませんね…。もったいない…とても良いのに…。
が、しかし!彼の音楽はいくつかフリーダウンロードが出来ます!(というのを今知って興奮w)
リトル・フォレストではアコースティックな音楽も多かったですが。
夏の夜にこれを流しながら読書とかすると捗りそう。
あと彼のライブは観ていてとても楽しそう。頭良いんだろうな…と思います。
まとめ。
キャスティングも、脚本も、演出も、音楽も全体的にとてもクオリティの高い良質な作品だと思います。
あまりこの作品についての事を聞かなかったのですけど、もっともっと話題になっていいし、観て欲しい映画だと思います。是非。