Reports about "OBASAN"
君たちは知っているだろうか。OBASANを。
実は、OBASANは日本全土に生息しているのだが、その存在は公になっていない。
しかし、私たち人類はこのOBASANに生かされていると言っても過言では無いくらいの恩恵を受けている。
例えば、今寝転びながらケータイでこれを読んでる君。
君は今一人暮らしか?実家暮らしか?…どちらでもいいが、両親がおそらくいるであろう?
その両親の女性の方…つまり言うところ、君の母親だ。
君のあの母親。彼女はおそらく既にOBASANである。
急にこんな事実を与えられても面食らってしまうよな、すまない…。
が、多くの若者は自分の母親がOBASANであることを知らないのだ。
これから私が経験した、または見聞きしたOBASANの生態を書いていこうと思う。
しかしこれは国家機密レベルの文書だ。どうか容易に拡散などしないで欲しい。
OBASAN'S DRIVE.
多くのOBASANは普通免許を所持している。かつて人間であった頃に習得したものだ。だから決して違法ではない。
が、しかしOBASANの運転はとても粗暴だ。我々はOBASANの運転する車をいつだって警戒せねばならない。
急なカーブ、横入り、急ブレーキ、必要以上の減速…
それらを行っているのは大体がOBASANであり、免許取得者の8割を占めているそうだ。
しかしOBASANは賢い。危険な運転をしたとしても、それは国家機関…つまり警察がいないところで行うのだ。実に賢い。
なぜOBASANが運転する車は危険になってしまうのか…それはまだ明らかになってはいないが、近々明らかにされていくだろう。
OBASAN meets CIGARETTES.
多くのOBASANは煙草を好む。愛煙家なのだ。
しかしマナーは意外にも良いことが多い。携帯灰皿を所持し、煙草は専用のポーチやケースに保存している。しかし、しかしである。
OBASANが煙草を吸うその出で立ち、シルエットにはなんとも言えないものがある。
目撃すると世界の終わりのような気分になるのだ。その時点でマナーもクソも無いのだ。
しかしOBASANは今日もモクモクと煙草を燻らせる。目を細めて、時には大きな声をあげながら。
OBSAN'S COMMUNICATION.
例えば我々が"知り合い"を作る時、それはどんな時であろうか?
学生時分であれば同じクラス、同じ部活、同じ委員会で知った面々と友だちになることはよくあることであろうが、大人になるとなかなかそう簡単では無いのが現実である。
だからこそインターネット、及びSNSというコミュニティサービスがこれだけ認められ、普及しているのである。
しかしOBASANは違う。OBASANは極端に言えば道端で出逢っただけの存在にも声をかけるのだ。
OBASANは体組織は人間の構造をしている。だから身体に支障を来す日もある。
そうするとOBASAN達は病院に足を運ぶのだが、実はそんな病院の待合室では日々OBASAN達の情報交換が行われているのだ。
例えば。
ある病院の待合室で待つOBASAN_AとOBASAN_Bは友だちである。
そこにAとBのどちらとも面識のないOBASAN_Cが現れる。1人で心細いのかCは何気なく「暑いわねぇ」とつぶやく。
そうするとAもしくはBが「ほんとよねぇ」と相槌を打つのだ。
そこから会話が始まり、そうしていつの間にか"知り合い"になり、果ては"友だち"となることもあり得るのだ。
我々が想像も出来ないような膨大なネットワークを持ち、拡散を続けるOBASAN。
実はこのOBASAN達が群れになることで"口コミ"というものが生まれ、その街の経済…もっと言えば、世界経済を潤しているのである。
だから我々はOBASANの事をもっと知り、敬わなければならないのである。
Subspecies of OBASAN.
そんなOBASANにはいくつかの亜種が存在している。OBASANほどの力は無いが、どれも知っておくに越したことは無い。以下、亜種を簡潔に説明する。
- OJISAN…大多数がOBASANの配偶者である。OBASAN程の力は無いが、怖いのは独り身のOJISANである。人生の何もかもを放り出したOJISANは非常に怖く、強い。
- JJI…OJISANの進化系である。殆どは温厚で気が優しい性格であるが、アルコールを摂取すると獰猛な性格になることが多い。また、それぞれのJJIによって踏んではいけないタブーがあるので注意をしなくてはいけない。車の運転が非常に危なっかしいことも。
- BBA…OBASANの進化系とも言えるのだが、多くはOBASANの悪いところを剥き出しにしたのがこのBBAとも言える。そういう意味では退化だと評する人も。
- GAKI…こちらは世代こそグッと若いが、非常に注意すべき層である。一言で言うなら「質が悪い」存在である。後先を考えずに行動する傾向があり、中には取り返しの付かない様な事件を起こしてしまうことも。亜種の中でも最も警戒すべき存在である。
そう。
日本にはこうしたまだ存在を認められていないものが、我々一般人に紛れてのうのうと生息しているのだ。
しかしこれを読んだ諸君は知ってしまった。これからは、どうかその知識をひけらかすことなく、日々の生活に活かしてほしい。
知っていると知らないとでは話がまるで違うのだ。「こういう存在がいるんだ」という知識は「なぜこんなことを…?」という疑問符を払拭することが出来るはずだ。
重ねて言うが、これは国家機関レベルの情報である。どうか他言無用で。
以上でOBASANのレポートを終了する。各自、読み終わったらデータを削除するように。
※この文章はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。