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音楽の事をあんな視点、こんな視点から綴ります。

『OTONA CHILD』全曲解説【前編】

5月の14日にリリースを開始した『OTONA CHILD』ですが、フリーダウンロードやCDの販売、ぼちぼち行われています。嬉しい限りです。

特に、CDの販売はやって良かったなぁと感じています。プレスなどの作業を業者さんに発注をしていないのでそれなりに手間暇がかかりましたが、きちんと「届いた」という報告を聞くととてつもなく安堵しましたし、とても嬉しかったです。

だから、ストリーミング配信だとかフリーダウンロードも流通の形としてはアリなのだけど、やはり実際に手で触れられる媒体というのは替えが効かないものなのだなぁと痛感しました。

今一度、リリース案内ページを貼っておきますね。

何度も言いますが、フリーダウンロード版があります。気軽に聴いて頂けたらな、と思っています。よろしくです。 

masacla.hatenablog.com

 

さて、ではアルバム収録曲について、一曲ずつ解説を書いていこうと思います。

曲順通りに書きますので、聴きながら読む、というのも良いかもしれませんね。

はじめに

その前に。

まずはアルバムについてのあれこれを書いてしまいますね。

 

今回の作品は、「HIRAMEKI」完成直後あたりから既に構想がありました。「大人と子供」って良いテーマになるなぁと。自身が30歳を迎えようとしてた(当時)こともあって、良い節目だなぁとも思ったんです。それまでの自分と、これからの自分について。

サウンド面において、当初のイメージでは「シブいもの」を意識していた気がします。具体的なバンド名を挙げると非難轟々来そうなので伏せますが(笑)、シブいギターロックみたいなね。ああいうシブ〜い感じのアルバム作りたい〜と。

それで、数曲ぽんぽんと出来た曲があるのですが、結果、それらの曲は未収録になりました。

やはりこのアルバムは「アルコール」という楽曲を基軸としていたので「アルコール」以前の曲は趣が違っていたんですよね。歌詞の内容が。

だから「OTONA CHILD」に収録されているのは全て「アルコール」以降の曲にならざるを得なかったんです。「アルコール」で掴んだ感触を大切にしたかったんです。

簡単にまとめると、「テーマ自体は変わらずに、収録曲のテコ入れがあった」ということです。笑

以上を踏まえて、楽曲解説へ。

01.ダイアローグ

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この「ダイアローグ」という曲は、制作後期に産まれた楽曲でした。

それまでに書いていた他の曲の歌詞とはすこし違った次元に行きたくて、ある種の「決別」を歌っています。それまでは「執着」とか「未練」とか「後悔」とか、そういう部分が多かったように思うので。

この曲から始まるので、アルバムの初っ端からテンション下げちゃう内容になっていまいましたが…まぁどの曲から始まっても暗い雰囲気になっていたようにも思います。笑

明るい曲を書くのは苦手です。

 

後述する「モノローグ」と対になっているような曲です。歌詞の内容とタイトルがあべこべになるようにしています。この曲こそ「モノローグ(=ひとりごと)」というタイトルであるべきだし、「モノローグ」こそ「ダイアローグ(=会話)」というタイトルが似合う内容なのですが、あべこべにすることで(というか自然にそうなったのだけどw)詩に奥行きが出たような気がします。

 

元々はアコースティックギターの弾き語りのみで録音する予定でしたが、思い切ってピアノを主体にしたアレンジに切り替えました。こういうアレンジをする時、趣味でアンビエント音楽であるとか、エレクトロニカなんかを聴いていて良かったなぁと思いますね。笑

イントロで鳴っている不可思議な音はシンセでもありますが、逆再生エフェクトをかけたエレキギターの音が大きく鳴っています。二度と同じフレーズは弾けません。笑

サビでの左右に鳴るアコギにキラキラ感があって、暗くなりすぎないのが良いと思います。

 

このくらいのサイズ感、いいですよね。するりとアルバムに入っていける感じ。

僕にとってアルバムの一曲目って、食前酒とか前菜みたいな意味合いが強いのかもしれません。はじまりますよ〜〜みたいな。笑

イントロ〜Aメロのコード進行が気に入っています。

 

02.ロストチャイルド

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その、気に入ったコード進行と全く同じコード進行のイントロです。笑 キーも同じ。

リズム的に流れるように繋がる一曲目と二曲目というのもよくありますが、こういう風に裏的な意味で繋がってるのもやっていて面白かったです。

 

ロストチャイルド」で試みたかったのは「1番と2番のサビの歌詞が同じ」というものでした。

大好きな日本のバンドのライブを見に行くと、結構観客も歌うんですよね。合唱。なんかね、そういうの良いなって思って。

もちろんライブでの合唱を目標とはしてないんですけど、聴いてくれる人が一緒に歌ってくれたらいいなって思ったんです。同じ歌詞だったら覚える内容が少なくて済むし。その割に、そういう妙に耳に残るような言葉をあえて選んで書いたわけでもないのですが、結果としてそうなれたのではないかなぁと思っています。

あと歌詞については「言えない」と「癒えない」の言葉遊びが気に入っています。

 

音楽的な部分ですが、この曲のサビはもともと全然違う曲のものでした。つくりはしたもののイマイチだと感じてしまい、お蔵入りしてた曲。しかしサビがとても気に入っていて、別の製作中の曲に当てはめてみるとしっくりと来たので、こうしてひとつの楽曲として完成させることが出来ました。サビの成仏ですね。笑

後半、キーを全音上げる転調を施しています。全音上げる転調ってちょっとこっ恥ずかしいのですが(笑)、効果的ですね、やっぱり。世界が明るくなる感じがします。

 

結構制作終盤までアルバムに入れるかどうか迷っていたのですが、今では無いと駄目だなって思うくらいに馴染んでいるように感じます。

あと、アコギの音がとても気に入っています。

 

03.シンドローム

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アルバムの中で、いちばん個性が強い曲じゃないかなぁと思います。

ふわふわとした、キーがよくわからない感じのAメロとBメロ。一番と二番で全く違う展開、と。自分の曲作りの癖が強く出たものだと思いますね。

昔からこういった、いわゆるJ-POP的構成を無視した楽曲の制作を楽しんでいました。Aから数えていってGメロまである曲を書いたこともあります。

 

サウンド面ですが、非常に難航した記憶があります。こういうよくわからない曲(笑)のアレンジって、参考になる資料が無いので探り探りに作業が進んでいきます。頭の中で鳴っている音のイメージを、具体的に形にしていくその想像力と発想が試されてきますね…。アレンジ次第で全然違った印象になる曲なんだろうなぁと感じています。

弾き語りするときは「指弾き」から「ピック弾き」に切り替えなくてはならないので地味に難しいです。

知らんがな、ですね。笑

 

04.傷口

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僕はどちらかと言うと暗い歌詞を好んで書いてるところがあります。

しあわせ〜!はっぴ〜!っていう歌詞は書けないんですよね。「嘘だろ」ってセルフツッコミをしてしまうから。

「傷口」は、とことん落ちてみようと、自ら暗闇の中に飛び込むような気持ちで書いた曲です。

 

朝起きて歯磨きをするのですが、たまに口から出す泡が赤く染まってることがあります。おそらくどこかの歯茎から血が流れているのでしょうが、痛みも無いし血もすぐに止まるので放っておいてる。でも、いつもどおり朝の支度をするときに、血の赤色を見る。見慣れてしまった光景の中に、痛みが見え隠れしている。ふとした瞬間に。

そんな日々を惰性で繰り返すくらいなら、もういっそ…というね。

中盤に出てくる「紫陽花が咲いた通り」「木漏れ日が綺麗な通り」「あの信号はいつも赤色で止まったまんま」という、具体的な場所を示す言葉は、すべて妄想です。実在する場所ではないんです。

でも、誰もが知ってる場所のような気もしていて。紫陽花が綺麗な通りも、木漏れ日が綺麗な通りも、赤色で止まったままの信号も、きっと聴く人の中に存在しているような気がするんです。そんな普遍的な場所にいるとき、ふと過去の傷がフラッシュバックして、「消えたい」という鮮血を滲ませてしまう。

そんな、そんなどうしようもない自分でも、誰かにとって苦々しい傷であるとしてもその誰かの中に存在していたい、という、だいぶしんどい曲ですね。笑

でも、現実は変わりません。いつもどおり冷たい水で顔を洗う日常に溶けていくだけです。

なんて。まぁ、これだけ語っちゃうくらい気に入っている歌詞なんです。笑

 

アウトロのギターソロがいい感じに枯れた音で好きです。

ちなみにエレキギターの録音は、パソコン内のアンプシミュレーターで録音しています。その前に真空管を積んでいるマルチエフェクターを通していますが。

ほんとはギターアンプからマイクで録りたいのですが、よほどしっかりしたスタジオや防音設備を持っていない限り、アンプでの集音は難しいと思いますね。。

自作した録音ブース内で鳴らす、というのをまだ試していないのですが、どうかな…これから先はまたいろいろ試行錯誤しながらいい音を追求していきたいです。

僕はバンドマンでは無かったので、ペダルエフェクターであれこれする、というのに慣れていないんですよね。いろいろ持ってはいるけれど。笑

パソコン上で数値的なものを調整することに慣れてしまいました。

 

おっと、すっかり長くなってしまった。

歌うのは大変むずかしい曲なのだけど、歌っていて楽しい曲でもありますね。

 

05.アルコール

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アルコールに関しては、以前制作したときに楽曲解説しましたので、ある程度は端折りますね。

masacla.hatenablog.com

なんといっても歌詞がね、アルバム全体を総括するようなものになっていて。

この曲を書けたことは自信に繋がりました。こういう方向性が合ってるのかも、とか。

アルバムに収録したバージョンでは、Soundcloudに上げたものとは少し違い、ミックスをし直してあります。こまかーい微調整ですね。各楽器の音量調節とか。通して聴いたとき、しっかりアルバムに馴染むようにしました。

 

これからも、大事に歌い続けていきたい曲ですね。

 

後半へ続く

今回は全10曲中5曲目までを解説しました〜!あんまり長いと後半集中力なくなって言いたいこと言えなくなりそうですし。笑

次回は6曲目から10曲目までを解説しようと思います。ここまで読んでくださり、ありがとうございました!

 

カンパ。

Kampa!にて、2名の方からカンパを頂きました…!

おひとりはフォロワーさんと、もうおひとりは匿名でのカンパでした。

重ね重ね、お礼申し上げます。本当にありがとうございました。頂いたカンパ、大切に使わせていただきますね!これからも、いい音楽を作れるよう精進してまいりますので、暖かく見守っててください〜〜!!

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(とても嬉しかったのでスクショを。お名前、一応伏せることにしますね!ありがとうございました!)