よつば。
前の巻から約二年半振りの新刊である。
読んでいて、「よつばと!」は、過去と未来を思う作品なのだと感じた。
「よつばと!」は、いわゆる『日常系』という枠に括られる作品である。(日常系という枠自体がそもそもあずま先生の「あずまんが大王」が作り上げたと言っていいジャンルなのだけど)
だから様々な思惑が交錯するような心理戦があるわけじゃないし、派手な戦闘シーンがあるわけでもない。
ただ、「そこにいる」ということだけで作品として成り立っている、奇跡みたいな作品だ。
この二年半の間に色々なことがあった。人生観が大きく変えられるような事も沢山起きた。非常に濃い二年半だったように思う。
僕は確実にふたつ歳を重ね、そして今ここにこうして生きている。生きて、「よつばと!」の最新巻を読んでいる。
それはなんとも不思議な感覚で、安堵や喜びでもあり、寂しさでもあった。
読み終えてしまったら、おそらくまた数年待たなければこの続きを読むことは出来ない。(もちろん連載誌を購読すれば読めるけれど、休載も多いそう)
だから、この次の巻を読む時、僕はどこでなにをしているのだろうと考える。
何が起きてもおかしくない時代だから、もうこの世にはいないかもしれない。大げさかもしれないけれど。
そんな、生活の中の隙間にすとん、と入り込んで来てくれる漫画、「よつばと!」。
この記事を書きながらある曲の歌詞が浮かんできた。
中村一義の「ここにいる」という曲である。
まだ、大きな無限大が、みんなを待ってる。
闇を抜けると、そこは、優雅な今日だ。
ただの平々凡々な日々に埋もる、
宝を探す僕が、今ここにいる。
見る景色の中には大きな無限大が広がっていて、優雅な今日が待っている。
それを、よつばは誰よりも知っている。
ああ、ただ「ここにいる」ということは、なんて奇跡的で刹那的で美しいものなんだろうと、思ったのであった。
- アーティスト: 中村一義,山田とも子,井上鑑
- 出版社/メーカー: マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
- 発売日: 1997/06/18
- メディア: CD
- 購入: 1人 クリック: 118回
- この商品を含むブログ (206件) を見る