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音楽の事をあんな視点、こんな視点から綴ります。

よつば。

あずまきよひこ作の漫画「よつばと!」の最新巻が発売された。 

よつばと!(14) (電撃コミックス)

よつばと!(14) (電撃コミックス)

 

前の巻から約二年半振りの新刊である。

読んでいて、「よつばと!」は、過去と未来を思う作品なのだと感じた。

 

よつばと!」は、いわゆる『日常系』という枠に括られる作品である。(日常系という枠自体がそもそもあずま先生の「あずまんが大王」が作り上げたと言っていいジャンルなのだけど)

だから様々な思惑が交錯するような心理戦があるわけじゃないし、派手な戦闘シーンがあるわけでもない。

ただ、「そこにいる」ということだけで作品として成り立っている、奇跡みたいな作品だ。

 

この二年半の間に色々なことがあった。人生観が大きく変えられるような事も沢山起きた。非常に濃い二年半だったように思う。

僕は確実にふたつ歳を重ね、そして今ここにこうして生きている。生きて、「よつばと!」の最新巻を読んでいる。

それはなんとも不思議な感覚で、安堵や喜びでもあり、寂しさでもあった。

読み終えてしまったら、おそらくまた数年待たなければこの続きを読むことは出来ない。(もちろん連載誌を購読すれば読めるけれど、休載も多いそう)

 

だから、この次の巻を読む時、僕はどこでなにをしているのだろうと考える。

何が起きてもおかしくない時代だから、もうこの世にはいないかもしれない。大げさかもしれないけれど。

 

そんな、生活の中の隙間にすとん、と入り込んで来てくれる漫画、「よつばと!」。

 

この記事を書きながらある曲の歌詞が浮かんできた。

中村一義の「ここにいる」という曲である。

 

まだ、大きな無限大が、みんなを待ってる。

闇を抜けると、そこは、優雅な今日だ。

ただの平々凡々な日々に埋もる、

宝を探す僕が、今ここにいる。

 

見る景色の中には大きな無限大が広がっていて、優雅な今日が待っている。

それを、よつばは誰よりも知っている。

 

ああ、ただ「ここにいる」ということは、なんて奇跡的で刹那的で美しいものなんだろうと、思ったのであった。

金字塔

金字塔