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音楽の事をあんな視点、こんな視点から綴ります。

Apple Musicを利用して思うこと。

ここ十年くらい、「音楽の価値とは」という事を考え続けていた気がする。

「モノ」としての価値には、デジタルコンテンツはどうしても勝つことが出来ないし、人は(そして日本人は)「モノとしての価値」にとても強い拘りを持っているように思える。

保存用、観賞用、布教用なんていう物の買い方は極論としても、手に触れられる「確かさ」みたいなものの虜に、いつの間にかなっていたのだなぁと。

 

音楽の在り方みたいなものは、昔とはその姿をまるで変えている。音楽シーンや業界について敏感な人ならそれをひしひしと感じていることと思う。

メタルギアソリッド4でスネークが言った「戦争は変わった。」というセリフを真似させて貰うが、今の音楽業界は謂わば、「音楽は変わった。」である。

それなのに、CDという媒体、そしてその売上枚数なんてものが未だに確かな説得力を持っていると思っている人のなんと多いことか。(海外ではCDはもはやマニア向けのものでしかないらしい。まぁだからといって海外と意識を共有しなくてもいいのだけど。)

 

音楽は自由だと思う。

だけどその自由さを利用して、僕らはあまりにも音楽を消費しすぎてしまったかも知れない。

これだけ膨大な量がひしめき合って、蠢き合っているものから、僕は何を感じ取ることが出来るのだろう。

 

 

このブログでは何度かプライムミュージックに関する記事をアップした。

Amazonのプライム会員が利用できるストリーミング再生サービスだ。 

masacla.hatenablog.com

大変素晴らしいサービスだと思った。

利用料金の安さももちろんだけれど、そこには都会のデカいCDショップでワクワクと色んな音楽を楽しむような、あの高揚感があった。

田舎のCDショップ、レンタルショップには置いていない音楽が、まるでFF7でミッドガルを出た後のフィールドのように広がっていた。(ゲームの例え多くてすいません。笑)

先月から利用を始めたApple Musicは、それよりもっと広いフィールドを持っていた。

興味の赴くままにどこまでも深く潜ることが出来る。何もかもが揃っているわけではないけれど、大抵は、ある。

 

僕は、自分が好きなように音楽を求められない事態をなかなかにストレスに感じていたのだな、と理解した。欲しい時に無い、聴きたいものを聴けない。通販するにも一枚二枚のレベルではない。それらを全て手に入れるには莫大なお金がかかってしまう。それは大層辛いことであったのだ。

 

だから僕は大変豊かな心持ちになった。ありがたいなぁと思った。

そう感じるのと同時に、記事冒頭に書いた問題が以前よりも色濃く頭の中を駆け回る。

 

「音楽の価値とは」

 

モノが無くてもある程度満足してしまえる現状。だからといって音楽の価値が下がったわけではない事が自分の場合は、分かる。

アーティストへの還元率とかそういうものも考えてしまうけど、所詮一般のリスナーである僕が出来ることは、どのサービスを使うにしても「きちんと対価を払う」という事だと思った。安すぎると思ったってしょうがない。その辺の事情に自分より遥かに詳しい大人たちが決めた料金体制なのだろうから、甘えさせてもらい、受け入れようと思う。

知らないアーティストを聴く場合の敷居がぐんと低くなった分、ライブやグッズなどで貢献出来る事が増えるかもしれない。

 

なんでも「基本無料」の時代。創作物の価格が暴落している現在。

ひとつひとつが難解で、決して簡単なことではないけれど、今の時代に合った「価値」のサイクルが上手く回ることを祈り、そしてそのサイクルを回す歯車でありたいな、と思う。小さくても。

 

 

メリッサ・ホーン(Melissa Horn)という女性アーティストを、Apple Musicを深く潜っていたら見つけた。雰囲気がとても良い。

www.youtube.com

ググってもほとんど情報出てこないが、どうやらスウェーデンのシンガーソングライターだそう。音楽もいいのだけど、ものっすごい美人ですね。

 

定額制配信サービスの是非をここで議論する気はないけど、こんな風に、今まで通り普通に生活してたら絶対に出逢えなかったであろうアーティストに出逢える事が出来るのが、凄いことだと思う。そして、とても嬉しいことだと思う。

 

音楽がまた好きになりました。