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音楽の事をあんな視点、こんな視点から綴ります。

37.1℃。

久しぶりにまともに風邪を引いた。

ちょくちょく咳が出るだのダルいだの、大きく声を上げるようなレベルではない体調不良は起こしていたものの、今回は仕事を二日間休み、普段は手が出ないであろう1700円相当の総合風邪薬を買い、とにかくいつもマスクを装備していた。

 

他にも、老若男女に厚い信頼を寄せられている「ファッションセンターしまむら」なる飛ぶ鳥を落とす勢いで地方の空き地を見つけては店舗を建設し、その勢力を拡大している大型アパレルショップにて「裏起毛」と呼ばれる非常に暖かい、まさに冬特化型のスゥエットを上下買い、ついにはそれまで所持していなかった…しかし安いために己の体温を測るのに優に10分は掛かるであろうどうしようもない体温計をも購入し、普通に暮らしているよりも一段と出費が多い一週間になってしまった。

 

症状は主に「喉の痛み」と「咳」であった。そして「倦怠感」だろうか。

タイトルにもしたように体温を計測した結果は「37.1℃」で、それほど高い熱は出ず、いわゆる「微熱」という状態であったようだ。

 

我が家には"かかりつけ医"があるのだが、そこは地元の爺と婆に愛されており、風邪やインフルエンザが猛威を振るうこの時期は、待合所がすし詰め状態になる。

加えて、そこの医院は駐車場が非常に狭い上に駐可能車台数が少ない。

 

「病院に行かねば」という気持ちと「しんどい」という気持ちがガチンコバトルを繰り広げたものの、以上の理由から「しんどい」の圧勝となった。ストリートファイターで言えば2-0である。「しんどい」が残機を余らせる形で優勝を決めたのだった。

 

日頃から「ゆっくりした休みが欲しい」と腑抜けた切願をしているものの、風邪で休んだ時の「コレジャナイ感」は何であろう。

というか、基本的に"何も出来ない"のだ。寝るしか無いのだから。

漫画や読書をしていても倦怠感から集中出来ず。同じ理由でゲームや映画も向かない。

出来るのは音楽を聴くことくらいだ。それもBGM的な聴き方だが。

どこまでも堕落し、疲弊する連鎖。気分は落ち込み、様々な絶望を想像してしまう。

 

そこで出会ったのが「Aus」というアーティストの「Light in August,Later」というアルバムだ。

http://www.flau.jp/artists/aus.html

このアルバムしか知らないが、アンビエンスやエレクトロニカというジャンルに分けられる作品で、「音楽」というよりも「音響」に近いのかもしれない。

 

だが、心地いいのだ。

 

僕はそれをプライムミュージックで見つけ、聴いた。

エレクトロニカというジャンルは非常に自由だ。例えば、永遠と続く雨音の中に適当にゆっくりしたピアノの音を入れ、それを30分ほど続けていたら、おそらくエレクトロニカになり得る。

ヒーリング・ミュージックニューエイジとは違い、どこか「攻めた」姿勢を取っているのがこのエレクトロニカではないかと考えている。

 

「Light in August,Later」はまるでそこに人が生活しているという錯覚を感じるような、絶妙なサウンドに溢れている。

ゆったりとしつつ、時にはハッとさせ、ドキドキもさせる。

聴きながらする読書が捗る捗る。

 

ヘッドホンを耳に当てじっくりと音の細部を聴く、という聴き方よりも、スピーカーで小さく鳴らしつつ、なにか作業に没頭する、という聴き方が合っているのかもしれない。

中でも特に良いな、と思った曲が6曲目の「Opened」。

この曲のみ女性ボーカルを招いての「歌」が入ったトラックである。

この「歌」の質感が非常に気持ちが良くて。まぁ正直なんて言ってるのかよく分からないのだけど、それがなんとも良いのだ。

 

とても良いインスピレーションを与えてくれた。

これを聴いて、思いついたアイデアをいつか形に出来たら良いな。

 

…と、37.1℃の体温で、思ったのでありました。

今の季節ほどエレクトロニカが似合う季節はないかもしれない。

挙げたアルバムは「夏の終わり」をテーマに制作されたそうだけど、真冬に聴いてもとても良い作品であった。

 

今回のまとめ。

みんな風邪には気をつけよう。

Light in August, Later

Light in August, Later