岩は転がって。-【2017.1.14(sat) ASIAN KUNG-FU GENERATION 2016-2017 20th Anniversary Live @福岡国際センター】 ライブレポート。
タイトルめっちゃ長くなりましたが。笑
行ってまいりました。20周年記念ライブツアーに!
"結成"20周年ですね。ゴッチがMCでも言ってました。「デビュー◯周年」よりも「結成◯周年」の方がオレたちにとっては意味がある、と。
ね。ほんとそうなんだろうなって思います。
まずはとにかくもう「おめでとう!」と「ありがとう!」を言いたいですね。
高校の頃、高校生にも内緒でアダルトビデオを貸してくれる田舎の小さいレンタルビデオショップに友達数人で入店してた際、USENで流れてた「君の街まで」を聴いた時の衝撃を昨日のことの様に覚えています。
そして聴いた「ソルファ」を鬼のようにリピートして聴き、市民プールの監視員のアルバイトをして買ったやっすいやっすいレスポールで「ループ&ループ」のリフを何度も何度も弾きました。
一度も「うるさい!!」と怒らなかった両親には感謝ですね。僕だったら「うるせーよ!」ってきっと怒ってます。笑
2016年に発売された新録「ソルファ」は、ほぼほぼ同じアレンジで収録されていて(だけどサウンドは明らかに良いものになってる)、あの頃の僕や時代を瑞々しく思い出させてくれると同時に、これからの未来についても少し考えさせてくれました。
バンドを20年続ける、続けられるって凄いことだと思います。正直異常なレベルです。
あのビートルズでさえ、ビートルズとして活動したのは10年にも満たないとか。
僕の中ではロックスターの様な存在だし、最近は愛と敬意をこめて「アジカン先生」って言ってます。笑
そんな彼らのアニーバーサリーツアー千秋楽。本当に最高でした。
以下からレポ。
ギターロック。
まず、ライブの構成について説明しますね。
今回のツアーは二部構成でありました。まずは1部について。
先にセットリストを見てみましょう。
【第1部】
01.遥か彼方
02.センスレス
03.アンダースタンド
04.暗号のワルツ
05.ブラックアウト
06.君という花
07.粉雪
08.マーチングバンド
09.踵で愛を打ち鳴らせ
10.今を生きて
11.E
12.Standard / スタンダード
13.ブラッドサーキュレーター
14.月光
はいこれ。やばくねっすか。
「ファンクラブ」からの選曲が多くて個人的には歓喜モノでした。
「センスレス」「暗号のワルツ」がやばい。興奮興奮興奮。。。
気合入ったセトリだなぁと改めて思いますね。息つく暇もないレベル。
「粉雪」とか「E」とかいう懐かしめの曲も聴けたし、現時点での最新曲「ブラッドサーキュレーター」も、そんなひとつひとつの重みが強いラインナップに並んでも全く遜色なく格好良かった。
アジカンの登場は日本語ロックの幅を広げたなと個人的には思っていて。
文学的なリリックなのにポップに響く言葉。「君という花」は分かりやすいね。ほんとにすごい。「青天の霹靂」なんていう言葉をサビのあんな場所に当てはめるセンスの良さよ。
あとアジカンは曲展開が面白い。箇所箇所で結構複雑なリズムパターンがあるし、AメロとかBメロとかいうセクションの構成が楽曲を飽きずに聴かせてくれる。
例えば「君の街まで」は面白い。A→B(サビ)から間髪入れずA'→B'なんですけど、このB'はBよりも8小節長いんですよね。そういうアレンジのセンスもすごく好き。
そしてそして、ギターアプローチね。アジカンのギターワーク面白いんですよ。ちょっと普通じゃない。セトリの中で言えば、「暗号のワルツ」「踵で愛を打ち鳴らせ」とかはギターアプローチだけ聴いても、とても楽しめると思う。
あ、もちろんリズム隊もすごいのよ?山さんの安定しつつも小気味いいフィルを入れたベースと、キヨシさんのタイトで手数の多いリズム隊が曲の根底にいてくれるからギターも映える。
それをどっしりとライブで披露出来ているし、貫禄出てきたなぁって思いました。非常にいいバンドになったなって。
40歳を越えてもなおロックの初期衝動を忘れず、それでいてどっしりした安定感も出しつつ。
GRAPEVINEや奥田民生師匠もとても良い歳の取り方してますよね。そんな感じを受けました。
「月光」のラスト、ディレイとルーパーでアンビエントちっくなギターの音を残したままメンバーは退場。
そのサウンドが流れたまま、左右のモニターに映る過去のアー写の数々。
ゴッチ髪型変わりすぎwwとか山さん変わんなすぎwwwとか。
みんな今も若いよねーとか、あ、この頃好き!とか…
色んな想いを観客それぞれが抱けた、とても良い演出だったと思います。
先日、未成年の男の子がゴッチに向けて「20年もしてたんですね!」みたいなツイートをすると、「そうだよ、君がまだお父さんのキンタマに居ることから活動してたんだよ」なんて言ってましたが(ww)
そうなんですよ。結成20周年。君がまだお父さんのキンタマの中にいる頃からバンドをしてるんです。アホでしょ?笑 RT @DeadDorado: @gotch_akg @okaaa37 もう20周年ですか!笑
— Gotch / Masafumi Gotoh (@gotch_akg) 2016年12月27日
歴史あるよなぁって思いました。そしてその活動を応援することが出来ること、それに応えていつも素晴らしい活動をしてくれること。
感謝と賛辞が止まりませんね。これはもう愛情です。
ほんとにほんとに、おめでとうございます。これからもよろしくお願いいたします、という感慨に浸りました。
ソルファ=音楽。
第2部は「ソルファ」再現ライブでした。一曲目が「振動覚」だったので「もしや…」と思いましたが次の「リライト」で確信へ…。
メンバーみんながソルファのジャケットが印刷された白シャツを着ていました。ユニフォーム感。素敵。
新録ソルファを聴いて、「ラストシーン」「24時」などのいわゆる「アルバム曲」の良さに気付いた。いやもちろん当時から好きだったけど、当時はシングル曲に夢中だったのかもしれない。
円熟したプレイとサウンドで聴く「ラストシーン」は感極まりました。照明も暗めで、どっぷりと世界観に入り込めて。
そこからの「サイレン」ね。分厚いフィードバックノイズからの絡み合うギターと重く鳴るベース。ソルファ収録のシングル曲では、もしかしたら「サイレン」が一番かっこいいのかも、なんて最近考えてる。
そしてそして、最後の「海岸通り」では、ヴァイオリニストNAOTO氏率いる"NAOTOストリングス"を迎えてのアクト。
ちょっと余談挟むと、鬼束ちひろのライブDVD「ULTIMATE CRASH '02」にもNAOTOさんが出演されていて、そこで初めてこんなヴァイオリニストがいらっしゃるのか!と知りました。金髪の二枚目さんだから目立つんですよねw
以来ちょいちょい音楽番組とかでもお姿を拝見していたので、今回生でNAOTOさんの弦が聴けたのは感動。ご自身の冠でストリングスを組まれたのですね…!とても素敵なアレンジ、音でした。
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(このライブDVDやばいので、オススメ。神がかってます。)
さて、改めて「ソルファ」の意味について。
アルバム名の『ソルファ』はヴォーカルの後藤が「sol-fa」という英単語を辞書で見つけたことが由来となっている。
「sol-fa」は「音階のドレミファ」を意味する。
『ソルファ』は”繋がる”、”レトロストリート”をテーマにしている。http://moto-neta.com/japanese-music/%E3%82%BD%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A1/
もう、この意味に全て込められてるなって。
ソルファを全曲演奏するということがメッセージ。未来の破片で「繋いでいたいよ」って歌っていたバンドが様々なことがあっただろう場面を乗り越え、昔のフォトアルバムを捲るようにあの時はこうだったねって言葉じゃないもの(≒音楽)で会話している感じ。繋がっている感じ。
音楽は記憶と共にあるものだと思ってて。
エロと音楽で頭がいっぱいだったあの頃の自分や、ひとりぼっちの部屋で誰かと繋がりたいなぁと思っていた慣れない土地での一人暮らしの日々や…。
僕自身の思い出と寄り添っていてくれたアジカンの音楽。
それが今現在、リアルタイムで本人たちが鳴らしていること。感動って言葉以上のものがあればいいのにってくらい、胸に来ました。あなた達の音楽、言葉に何度も救われて来ました…。本当に感謝。
音楽だけじゃ世界は変わらないかもしれないけど、音楽で人ひとりの世界は確実に変わる。それは結果世界を変えることに繋がるんですよね。
いつだって実は傍にあって、僕らの心や言葉に出来ないものを表してくれている。
そんな音楽が、やっぱり僕は大好きだ。
【第2部】
振動覚
リライト
ループ&ループ
君の街まで
マイワールド
夜の向こう
ラストシーン
サイレン
Re:Re:
24時
真夜中と真昼の夢
海岸通り
岩は転がって。
アンコールは会場真ん中付近に設置された小さいステージにゴッチが登場してからスタート。大相撲フリークでもある彼は「ここを土俵ステージと呼ぼう」なんて言いつつ客を笑わせる。
そのまま、アコースティックギターで「転がる岩、君に朝が降る」をソロで弾き語り。
「できれば世界を僕は塗り替えたい 戦争を無くすような大それた事じゃない」
という言葉で始まる名曲。
当時発売されたシングルをタワーレコードで試聴して、その歌い出しで危うく涙が出そうになった。我慢したけど。
ロックに憧れる少年性と衝動。
Mr.Childrenの桜井和寿氏が「Hallelujah」という曲の中で綴っている、
「僕は世の中を儚げに歌うだけのちっちゃな男じゃなく
太陽が一日中雲に覆われてたって 変わって君に光を射す」
という言葉にも似たものを感じますね。
世界に名を轟かすようなロックンロールスターになんてなれなくてもいいから、君にとってのそれになれたら…それに近いものになれたらそれで良いという少しの諦めと大きな決意。
不景気な世情で音楽がどんどん価値を落としてしまっている昨今であっても、岩が転がるようにロックは、音楽は、僕達を遠くへ連れて行ってしまう。…いや、連れて行ってくれる。
なら今更抗ったって仕方ない。歌を歌うことをやめることはきっと出来ないし、どんなに暗く陰鬱な夜があっても朝は来るのだし。
どちらかと言うとボソボソと呟くようにそんな一曲を彼は弾き語った。
続いて「驚くべき未来」と言って歌い出したのが「Wonder Future」。
この曲も「転がる岩〜」と似た世界観持っていると僕は思っていて。
動き出してしまった船の上(転がりだした岩のように)、霧の中にいて何があるか、何が起こるか分からない先の景色を怖がりつつも逃げずに立ち向かう覚悟の歌。
たまに、「どうして自分は人間に産まれてしまったんだろう」と考えることがある。
動物なら、虫なら、植物なら、こんなに考えずに生きていけたのではないか、とか。
でも生を受けた瞬間を憂うことは、きっと無意味だ。
もう人間として産まれてしまったんだから、向き合うしかない。立ち向かうしかない。
そう、"どんな結末が待っていたって"。
重く聴こえるフレーズでもあり、とても勇気づけてくれるフレーズでもあると思う。
後藤正文というミュージシャンは、この曲もまた呟くように、でも一言一言を丁寧にして、歌った。
「ありがとう」と彼が言ったすぐ後に、メインステージからギターの轟音が鳴り響く。
ステージに立っているのはゴッチを除いた3人と、サポートで参加していたChef Cooks Meのシモリョーだ。
喜多健介氏独特のハイトーンボイスが活きた「タイムトラベラー」と「八景」をのびのびと歌い、ライブはクライマックスへ。
その全ての歌詞をリアルタイムで見せながら(魅せながら、ともいう)披露した「さよならロストジェネレイション」。
歌詞内の年号を現在に変えた「2016は僕たちを一体何処へ連れてくの」という言葉。
こんなにメッセージが強い曲なのに、きちんとアジカン流の歌モノにしているのがすごいなと改めて思った。
「神様気取りで深く暗い沼の「自分探し」より
窓を開け その外側は何処へだって続いている」
っていう歌詞、すごい好きだな。
そしてそして、ラストは「新世紀のラブソング」。
このアンコール…というか3部のメッセージの込め方がすごい。言葉がズンズン来る。
今此処に僕達が生きているということ。生の実感。
それぞれの人たちがそれぞれに輝いて、たまに憂鬱になっても「排泄するだけのサルじゃない」と声に出して言えるように。
これからの未来はきっと嘆くようなものじゃないし、嘆いたって始まらない。
それならやはり、どんな結末になろうとも大きな声で歌うことを忘れないようにしたいよねって思いました。
音楽が好きでしょうがない僕たちは、そこから始めればいいし、そこにたどり着ければ良い。
その為の音楽と、場所を、これからもアジカン先生には創り続けていって欲しいな。
【第3部】
転がる岩、君に朝が降る
Wonder Future / ワンダーフューチャー
タイムトラベラー
八景
さよならロストジェネレイション
新世紀のラブソング
まとめ。
長々と書きましたが、正直当日の興奮は筆舌に尽くし難い。
でもとにかく言葉にしたくて、書きました。
非常に素晴らしいライブでした。感動が止まりませんでした。
そんな興奮が少しでも表せてたらいいな。
最後に、撮影OKなタイミングで撮った写真のいくつかと、ツアートラックの写真を載せておきますね。少しでも臨場感が伝われば。
外は非常に寒かったです。風が強くて。
後ろにちょっと言葉が見えるでしょ?あんな感じで「さよならロストジェネレーション」の歌詞が出てました。
これが「新世紀のラブソング」の時。
今回の舞台セットが非常に凝っていて、まさか福岡でこんな規模のステージが観られるとは思ってなかったから、驚いた。かっこよかったです。
以上!