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音楽の事をあんな視点、こんな視点から綴ります。

パターンの呪縛。

松本人志高須光聖の放送室」というラジオ番組(終了済)を未だに好んで聞いています。

www.hisakawa.net

(この非公式ファンサイトはじめて見たけど、すげー!!w)

 

その第281回にて(ファンサイトのおかげですぐに第何回かわかりました、すごい)、高須さんが高須さんとあるテレビ局のディレクターさんとで話した内容を話し出します。

 

そのディレクターさんは落ち込んでいて、嘆くように言い出します。

「高須さん、聞いてくださいよ。なんか、よくよく考えたら"新しい物"って無いじゃないですか」と。

なになに、どういうことやねん?

「なんか全部、"パターン"じゃないですか」と。

 

子供の頃は未知のもので世界は溢れてた。

それがいつの間にか大人になって、色々なことを図らずも経験して来た。

凄いと思っていた飛行機、新幹線。なるほどこういう感じか。

ものすごいものと思っていたセックス。なるほどなるほど。

大好きなお笑い。ふむふむ、なるほど。

「こうなって」、「こうなる」。

すべてはパターンじゃないか。と。

 

知らない土地に旅行に行ったとしても、最終的にはパターン。

知らない異性とセックスしたとしても、最終的にはパターン。

新しい車、欲しかったあれこれ。手にしても抱く感情は、パターン。

 

この"パターンの呪縛"が頭から離れず、絶望してしまう。

 

そのディレクターさんは「いろいろ考えて考えていくと、…僕ホモになろうかなぁ…」と考えを一旦締めくくります。(w

本当にそうなるかどうかは大きな問題ではなくて、つまりは「新しいもの」を求めていってのある種の結論で。そうすることで未知の世界を体験することは、この虚無感にも近い感情をどうにか揺り動かしてくれないだろうか、と。

それさえも、いつかは「パターン」になってしまうのかもしれないけれど、と。

 

松本さんはこの話を笑いながら聞きつつ、「でも分かる。俺もそう思ったことがある」と受け答えます。

30歳半ばくらいに、「さてさて、これからどうしようか〜」と思ったのだと。

でも今は(放送当時は2007年で、映画を録り、働くおっさん劇場をやっている頃)、だいぶ無くなったけどなぁ〜と。

そして「頑張ってきた人間は絶対一回はそう思うよ」「軽く鬱だと思うけどなぁ」「新しい"パターン"を見つけることに燃えるしかないやん」と持論を展開します。

 

僕はこの話がとても好きで。とても印象的で。

はじめてこの話、放送を聞いたのは20歳くらいの頃だったから、その時はなんとなくしか分からなかったけど、今、このパターンの話が少し分かるんです。

言い換えれば、日常のマンネリ化、形骸化とも言えるのですけど。

なんだか心が揺れ動くような情熱や熱く煮えたぎるような欲望が、若い頃より薄れて感じるのです。

 

瞬間的な熱膨張のようなものはあります。それは時に音楽だったり、ゲームだったり、漫画だったり、エロだったり。

しかしそれらはどういうわけかすぐに燃え尽きてしまいます。

そんな折、上記の話を思い出しました。

ああそうか、これがパターンの呪縛か、と。

 

例えば僕が腐るほどお金を持っていたなら、そんな事を思わないまんま、新しい刺激を求め続けられるのかなぁとも思います。

でもそれも僕がその世界を知らないだけ。お金があっても結局は何かしらの結末を得てしまうパターンの中にあってしまうはずなのです。

 

お金では買えないもの。考えても分からないもの。

そんな、心に訴えかけてくるような、自分の中の本能がくすぐられるような、強いエネルギーを欲しているのです。それを模索して、探求していたいのです。

 

僕の思考回路はそれを「音楽」に求めようとしています。何かある度に「音楽だとどうだろう」と考え続けてきた癖のようなものです。

でももしかしたら、音楽というフィールドには新しいものは無いのかも知れない。結局は模倣であったり過去からの系譜でしか無いのかも。

 

それでも多くの音楽家、アーティストたちは事ある毎に「新しいものを」と言います。

今までに無かったもの、全く新しい発想のものをと。

僕もそう思います。新しくて胸が、心が踊るようなもの。そんなものをつくりたい。

 

だけど、このままパターンの枠に収められていては、新しい発想はなかなか出て来ません。

だから開き直ってもっといろんな事を(それがパターンになってしまうとしても)経験しなくては、と思うのです。

知らないくせに知ったような気になっているものが沢山あります。

 

今日から九月。

新しいことを始めるチャンス。

なんだか、勝手にそう思っているんです。

頑張らなきゃ。