向井秀徳を観た。@佐賀さいこうフェス 2017.10.22(sun)
僕が初めてNUMBER GIRLというバンドを知ったのは高校生の時で、当時入り浸っていた地元のTSUTAYAに置いてあった独特なアートワークをしたベスト盤を手にした時だった。
OMOIDE IN MY HEAD 1 ~BEST&B-SIDES~
- アーティスト: ナンバーガール,NUMBER GIRL
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知った時、バンドは既に解散していた。どうしてもっと早く知れなかったんだろうと何度も思った。椎名林檎が「発育ステータス」というバンドにギタリストとして参加させていた田渕ひさ子がNUMBER GIRLのギタリストだったというのも後から知った。
でも、例え中学の頃に聴かされても理解出来なかっただろうから、仕方ないかなぁとも思う。
そんなNUMBER GIRLのフロントマンであった向井秀徳氏が解散後新たにZAZEN BOYSというバンドを立ち上げたことはすぐに分かった。
椎名林檎が雑誌内で「HIMITSU GIRL'S TOP SECRET」というミニアルバムを「ピンク色のジャケットのCDに外れはない」とか一言添えて紹介していて、すぐにまたTSUTAYAに走った。
ZAZEN BOYSはNUMBER GIRLとはまた全然違った、だけどやはり向井秀徳臭を感じさせるバンドで、聴いてはいつもニマニマとしていた。
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2008年に「ZAZEN BOYS4」というアルバムが発売され、「The Drifting/I Don’t Wanna Be With You」という曲で聴ける吉田一郎のベースプレイに圧倒された。というかリアルに泣いた。なんだあのベースは。ベースサウンドに諸行無常を感じたのはあれが初めてだった。
気づけば向井秀徳関連のネタツイートや動画などでその姿を見ては笑ってしまうようになってしまった。愛ゆえの笑い。尊敬ゆえの笑い。「この人おかしいなぁ、イカれてんなぁ」という。
そんな彼が、彼の生まれ故郷である佐賀県に来、弾き語りライブをするという情報を得た。
僕のスケジュールともちょうど良く、見に行くことにした。
「佐賀さいこうフェス」という催し物は、思っていたよりも小規模だった。
それでもステージはまぁまぁの広さがあり、到着時には「ねごと」というガールズバンドがライブをしていた。ねごとも前々から好きで、いつかライブを観てみたいなぁと思っていたので都合が非常に良かった。
到着時間の関係でラストの曲の後半くらいしか聴くことが出来なかったが、やはりライブを観るというのは良いことだと思った。いつもテレビやスマートフォンの液晶越しに観ている人らを生で目撃するというのは何事にも代え難い経験だと思う。
機会があればまたゆっくり彼女らのライブを観たい。
さて、ここからが本題の、向井秀徳のライブレポートになるのだけど、既にTwitterにて色々書いてしまったのでそちらをまず参照したい。
❶向井秀徳、サウンドチェックからエフェクターボード(鬼ころし含む)持って自らセッティング。ギターは最近お気に入りの水色のシンラインテレ。アンプはジャズコ。
— mscr (@syozopanda) 2017年10月22日
マイクに静電気来てたらしく「ビリビリちゃんが来とるよ」発言(マイク通して)。鬼ころしストローでちゅーちゅー
❷「卓(PA)はどこや?あそこか」「モニター1回全部オフから始める」「ウォォォーーーイ!!」「ボーカルちょっと上げて」「ウォォォーーーイ!!」「よし」「じゃあ始めましょうか」
— mscr (@syozopanda) 2017年10月22日
板付きでスタート。
この間めっちゃ渋い顔でピックを口にくわえたり「まだビリビリしとるて」とか細かいのあり
❸セトリ
— mscr (@syozopanda) 2017年10月22日
六本の狂ったハガネの振動
SENTIMENTAL GIRL’S VIOLENT JOKE
ZEGEN VS UNDERCOVER
魚(初めて聴いたから表記わからん…)
天国
赤とんぼ
はあとぶれいく
❹「誰かが散らしたゲボだらけ」って歌詞を何回も歌うとことか、ナンバガ時代の曲やるとか、一切スタイル変えずに己を貫き通す姿勢、それをたったひとりでやる意気込み。向井秀徳はやはり紛れもなく向井秀徳だった。「みやき町からやって参りましたThis is 向井秀徳」とか最高。
— mscr (@syozopanda) 2017年10月22日
先にも書いたが、「生で観られることの素晴らしさ」である。
あの向井秀徳が今、同じ空間に居る!という事実だけで頭の中がぼうっと熱くなる。
この人があの向井秀徳か、と。ほんとに実在したんだ、と。
もしかしたら向井秀徳という存在は無く、高度なテクノロジーによって生み出された言うなれば"概念"的な存在なのではないかということまでは思っていないが、感動である。
セトリに関しても文句なし。アコエレ(とはいえエレキしか使ってなかったけど)形式の最大の魅力はナンバガ時代の曲が聴けるということだと思う。
Sentimental〜やZEGEN〜といった楽曲はエレキの弾き語りだったとしても、脳内でアヒトイナザワの印象的なドラムフィルや田渕ひさ子の枯れまくったギターリフや中尾憲太郎のゴリゴリしたベースが同時に再生される。
左隣に居たイケメンの兄ちゃんも軽くヘッドバンギングをしている。右隣にいたオシャレなねーちゃんもリズムに合わせてうんうんうんうんと頭を動かしている。
きっとそれぞれがこれまでの人生、車で、イヤホンで、スピーカーで、「ばりやばーい!」と一緒に歌ってきたのだろう。「笑い狂う殺人的にー!」と。
そんな、日本のロックシーンの中でも異質な立ち位置にいるこの向井秀徳という男を生で観られたということは、個人的には大きな事件であったのだ。
だから思っていたよりも小規模なイベントスペースでも、イチオシであるグルメコーナーの目玉商品がほぼほぼ売り切れ状態になっていても、最後には「さいこう」と言う事が出来た。
佐賀さいこうフェス実行委員会の皆様、彼をイベントに呼んでくださり、本当にありがとうございました。さいこうでした。もし来年も開催されるなら、グルメあたりの改善を強く希望します。二日目の半ばにして目玉商品売り切れ多すぎッスよ。
でも向井秀徳をまた呼んでくれたら文句言いません。